「子供の釣竿、何がおすすめ?」
最近、友人と家族ぐるみでアウトドアに出かける機会が多くなり、子供に買ってあげたい釣竿のおすすめについて頻繁に相談を受けるようになりました。
そこでよく聞くのが「釣具店に行っても、林のように立ち並ぶ竿達を前に途方にくれてしまう」という話です。
そこで、私の幼少期の実体験や、我が子に長年釣りを教え続けてき経験を基に、子供用の釣竿の選定について私見をまとめました。ご参照いただき、皆さんの竿選びの一助となれば幸いです。
子供の釣竿を選びにくい理由
出典:イシグロ
子供の釣竿はなぜ選びにくいのか。それは、釣竿には「子供用」というカテゴリがないからです。
例えば洋服などは「KIDSサイズ」などと分類されいたり、身長を基準にチョイスできます。
一方、釣具は一般的に「対象魚」や「釣法」など目的別に陳列されています。例えば「対象魚:真鯛」「釣法:船釣り」のようなカテゴライズです。結局は使用者が釣竿にどんな機能を求めているかに尽きる訳ですから、合理的な陳列方法だと思います。
しかし、そこで子供に「あの魚をこの方法で釣る!」のような目的のもと商品を選ばせるのは難しいですよね。そして代わりに親が選ぶとしても、その親が釣り初心者であれば、やはり難しいと思います。
子どもや初心者の方には、どこでどんな魚がどんな方法で釣れるのかといった知識や経験自体がない訳ですから、目的別に並んだ釣竿を見ても、どう手を出したら良いのか見当がつかないのは当然です。
子供用釣竿は年齢に応じて選ぶ
目的に合わせて釣竿を選ぶ必要がある。そんな中で子供用釣竿をどのように選定すれば良いのかというと、私は、「使用者の技量」と「釣竿の性能」の二点を整理することで、正解を導き出せると考えています。
そして「使用者の技量」を考える上で、子供の年齢が大きく関わってきます。私がこれまで子供達に竿を持たせていく中で実感したことですが、例えば幼稚園児と中学生とでは適する竿が変わってきます。
箸の持ち方も覚束ない幼児に、操作が複雑で重たいリール付の竿を持たせたところでうまく扱える訳がなく、疲れてすぐに飽きてします。だからと言って小学生や中学生に、リールのつかない延べ竿を持たせても、つまらないと言ってやはりすぐに飽きます。
「使用者の技量」を考慮するなら、釣り竿は子供の成長に応じて選ぶべき!
という訳で、以下の通り子供用のオススメの竿を年齢別に整理してみました。
3歳~5歳児に適した子供用釣竿は延べ竿
我が子の釣りデビューは3歳の頃。当時の息子にはじめて持たせたのは延べ竿でした。以下のようなリールを付けない竿です。
最重要要素は「操作性」
この年頃の釣竿の選定については、子の技量を親が見極めて考えてあげる必要があります。
私が竿の選定に最も重視したことは、いかに楽に釣りをすることが出来るか、要は操作性の高さです。
まず、腕力を考慮しました。この頃の子供達は、例えば傘をさす時、シャフトを肩にかけながら斜めに持って差します。大人のように垂直に持つ力がないからです。そんな子が、重たい竿を長い時間持ち続けるのは困難だと考えました。
次に、ライントラブルについても考慮しました。竿を支えることが精一杯な状態で、なおかつ視野も狭い幼児に、糸が絡まないよう竿先に注意を払わせるなど無茶な話です。
そして、3歳~5歳児が竿に求める要素「操作性」の高い竿は何かと考え、行き着いたのが「延べ竿」でした。
長さと固さに注意する
ここで、その延べ竿を最大限に活用するための、選定にあたっての注意点を経験者の観点から述べておきます。
まず、長さは4.5メートルくらいが適当だと思います。間違っても、子供が持つからといって短い竿を選んでは行けません!なぜなら延べ竿は、竿の長さ分の糸を先端に結びつけ、リールを使わないため、ある程度長い物を使わないと魚のいる深い場所を探れないからです。竿を持つことができても、仕掛けがタナに届かず釣りができなければ意味がありません。この長さなら、海でも川でもしっかり釣りを楽しむことができます。
ちなみに失敗談ですが、私が当初子供のためにと思い購入した1メートルの延べ竿は、一度も使用されることなく倉庫に眠っています…。
また、固さに関してはサビキ釣りでコマセを振ることを考えると、硬めの竿のほうが扱いやすいです。私は「硬調」を選びました。魚がかかるとかなりしなるので、取り込みの際は手伝ってあげていました。
幼稚園児用釣竿の実釣レビュー
3~5才用(幼稚園児用)釣竿としておすすめした延べ竿について、実際使用した竿の特徴、釣り方、釣果などをご紹介します。
我が家で使用した幼稚園児用釣竿は、延べ竿4.5メートル硬調。折ってしまう可能性も高いので価格は三千円~五千円くらいの安いものにしました。
釣り方について、私の子供達は主に海のサビキ釣りで使用しています。「早く釣りたい!」と毎回急かされて、朝一のマズメ時に最優先で仕掛けを準備してやるんですが、延べ竿とサビキ仕掛けの組み合わせであれば即準備できるところが嬉しいですね。
針の多い仕掛けなので、絡むことは多少ありましたが、必要以上に糸が出ていかないので、他人とお祭りしたり、竿先が絡むような大きなライントラブルは皆無。
次に釣果ですが、実に多種多様な魚が釣れました。
例えばイワシやアジ。どちらの魚も、刺身、唐揚げ、煮付けなどどんな料理にも合う美味しい魚ですね。その他、コノシロやイサキの幼魚などが釣れました。
フグ、ゴンズイ、ハオコゼなどの毒を持つ魚も釣れるので注意が必要です。サンバソウやスズメダイの入れ食いでも、息子は大いに喜んでいました。
…まあ、釣り始めて20分足らずでお菓子タイムに突入というパターンがほとんどでしたが。
ちょっと釣れば満足な様子で、凝った仕掛けは不要と感じました。この年齢の子供たちには、いかに早く、手軽に、とにかく小さくても魚を釣らせてあげることが大事みたいです。
なお、この「延べ竿」については色々な種類がありますが、中でも「渓流用」が子供の堤防釣りには最適。延べ竿については詳しく紹介したこちらの記事もご覧ください。
「延べ竿」とはどんな竿かご存知でしょうか。簡単に申し上げると、リールを取り付けず、先端に糸を結んで使用する竿の総称です。リールを使わないため竿自体の機能が非常に重要になるこの延べ竿ですが、長さ・重さ・太さ・素材・調子の違う様々な製品[…]
小学校低学年に適した子供用釣り竿は中古バスロッド
小学生になった息子に与えた次なる釣竿はバスロッドでした。以前から、私が仕掛けを沖へ向けてビュンビュン飛ばすのを毎回隣で見ていた息子に、もう少し大きくなったら投げさせてあげると約束していたこともあり、小学生に上がると同時にリール付きの竿に昇格させたのでした。
投げ釣り可能で扱いやすさ重視
以前から「カゴ釣りがしたい!」と言っていた我が息子の要望に素直に応えるなら、本格的な遠投磯竿を買えばいいという話になりますが、小学低学年にはまだ早いです。危ないし、重いし、長いし、…高価だし…却下。ただし、遠投したいという要望に少しは応えたい。そこで、短・中距離の遠投が可能なことを考慮しました。
次に、竿の扱いに慣れるまではガイドに糸が絡むトラブルが多発するため、特に今回リール操作がはじめてということも踏まえ、長さは短めが望ましいと考えました。
更に、リールの扱いが慣れないうちは、糸を巻きすぎて竿を折る又はガイドを破損するケースが多発します。うちの子達も何度かやらかしました。よって、壊れても惜しくない安価なものにしようと考えました。
そこで私が小学生の子供に与えた竿は、中古のバスロッド。ワゴンセールで200円でした(笑)。
長さ1.8メートルほどのロッドで、堤防からのサビキ釣り、ちょいカゴ釣りで使用していましたが、6才、7才、8才くらいの子には扱い易い長さだと思います。
初心者用格安竿・リールセットは遊び用に
さて冒頭で、初心者が自ら釣竿を選ぶことが難しい理由として、釣具屋の商品が目的別で陳列されていることを挙げました。
ですが実は例外があり、「初心者用」と謳い、竿・リール(商品により仕掛け等も)が全てセットになった格安商品が最近よく販売されています。
この手の釣竿セットには賛否両論ありますが、「安くて良いものを」の観点で考えると、私もこのような格安セットはオススメしません。これを買うより、私のように中古釣具屋で竿とリールを別々に買った方が、1ランク~2ランク品質が上のものが揃い、断然コスパが高いです。
ただし、選ぶ手間と時間の節約をしたい方にとっては、こちらを子供用に検討する余地もあるかもしれません。一、二回使用して壊れたという話も聞きますので、購入する場合は遊び用と割り切って使いましょう。
子供用にオススメするダイソーの釣竿
出典:DAISO
安かろう悪かろうになりがちな格安釣竿が多い中、近年、100円ショップDAISO(ダイソー)の釣竿はコスパが高いと評判です。
近年、ダイソーさんは破竹の勢いで釣具の商品規模を拡大しています。私もルアーなどでかなりお世話になっており、ダイソー釣具への信頼も高まってきたところです。
そんなダイソー釣竿の2022年7月現在のラインナップは以下の通りです。
品名 | 金額(税込) |
釣り竿(リールセット)[シルバーorメタリックブルー] | 1100円 |
振り出し竿 270cm | 880円 |
振り出し竿 240cm | 770円 |
振り出し竿 210cm | 660円 |
ルアーロッド 210cm | 1100円 |
ルアーロッド 180cm | 1100円 |
この中で子供用の釣り竿としてオススメするなら、「釣り竿(リールセット)1100円」でしょう。
理由はなんと言っても圧倒的な安さです。ネットで最安の竿リールセットでも、送料込みで2000円程はします。
あくまで子供用なので、ロッドの硬さやドラグ性能など細部にこだわらず、最低限釣りができるレベルだと割り切る必要はありますが、1100円でそれが叶うならお得なのではないでしょうか。
ただ、ネットで購入すると送料がかかり割高になるので、お近くの店舗で店頭購入することをおすすめします。
小学校低学年用釣り竿の実釣レビュー
小学校低学年用の釣竿としておすすめしたバスロッドについて、釣り方と釣果をご紹介します。
釣り方は、サビキ釣りの他、ちょい投げ釣り、ちょいカゴ釣り、ウキ釣りなど、延べ竿に比べてかなり幅が広がります。
リールが付き、仕掛けが複雑になりますので、短めの竿とはいえ、子供が使うとやはりライントラブルは避けられません。特に餌を付ける際に竿先を振り回さないことに注意を払わせながら、サポートしてあげる必要があります。
釣れた魚は、アジやイワシ等に加え、サバ、イナダ(ワカシ)、アカハタ、カサゴなど中型の魚も加わります。
小学生高学年・中学生に適した竿
小学生の高学年・中学生に適したロッドは、シーバスやエギングに対応できるマルチルアーロッドです。中でも以下の竿がオススメ。
ダイワ クロスビートSW 836TML
子供が中学生前後の時、視野も広がり、竿の扱いにも気を使えるようになった頃合いを見て、ちょっといい竿を買ってあげました。この竿は汎用性が高く、皆さんにも是非オススメしたい竿。私の買ったのは旧モデルですが、2本買ったイチオシの竿ですので、少し詳しく説明します。
軽い!
前述のとおり、重量は、腕力の少ない子供にとって重要な要素です。釣法にもよりますが、大人なら重い竿を何時間持っていてもさほど苦にならないでしょう。私も潮の流れを観察したり、タナを探ったり、魚の動きをイメージしてみたりと釣りに集中し始めると、竿の重さによる疲れなど気にしている暇はありません。
ですが、子供にそこまでの集中力を求めるのは酷でしょう。全然釣れない…しかも竿は重くて手が疲れてきた…やはりすぐに飽きてしまいます。
子供には少しでも長く竿を持たせて、釣りを楽しんでほしいという意味でも、竿の軽さは大きなポイントです。
この竿の重さは155g 。軽い!
ちなみに、磯竿3号が300gほど。オモチャのライトセーバーが150gほど。
子供が使うおもちゃの剣と同じ軽さなら合格ラインでしょう。
使いやすい長さ!
子供との釣りで付き物なのが、ライントラブルです。私は小学1年生の時、いきなり5.3mの磯竿で海釣りデビューしましたが、長くて非常に扱いづらく、よく穂先に糸を絡ませては、そのたびに父親にほどいてもらっていました。
最近は自分が父親の立場で釣りに出掛けますが、そこでイライラして子供を怒鳴り付けていたら、せっかくの楽しい休日が台無しですよね。
子供にも大人にも、なるべくストレスなく釣りを楽しんでほしい。そこで重要になるのが竿の長さです。
この竿の長さは2.5mです。
これくらいの長さなら扱いが格段に楽になります。更に、この竿は固さもあるので穂先が暴れません。餌の付け替えの際などに、穂先に糸が絡まないよう注意払うことを覚えさせるにはちょうどよい長さです。
どんな釣りにも対応できる汎用性の高さ!
子供を釣りに連れて行くなら、やはり堤防での釣りがメインになるかと思います。砂浜からの釣りでは遠投が必要になるので子供には無理ですし、地磯やテトラへ子供を連れていくのは危険です。
堤防釣りの定番といえば
・サビキ釣り
・うき釣り
・投げ釣り
・カゴ釣り
あたりですが、この竿なら上記のどの釣り方にも対応できます。
ある程度長さがあるので、長めのサビキ仕掛けも使えますし、ちょい投げ釣りでも距離が出ます。8号~10号くらいの軽めのオモリでカゴ釣りも可能です。
更に言うと、上記以外にも
・エギング(イカのルアー釣り)
・シーバスや青物のルアー釣り
・ブラックバス釣り
にも使えます。
いえ、むしろスペック的にはルアーフィッシングでこそ、この竿の能力が最大限に発揮されます。
私が子供のためにこの竿を購入するに至った一番のポイントは、この汎用力の高さにありました。
家族釣りではお子さん用の竿として使え、お父さんが一人で釣りに出かける時は本格ルアーフィッシング用ロッドとしても使える、一石二鳥の釣竿です。
収納性抜群!
釣りに出かける際、荷物はなるべく少ない方がいいわけですが、この竿、細身な上、仕舞い寸法52cmと非常にコンパクトです。車に常備しておいても邪魔にならないサイズです。
例えば旅行先にたまたま海があった。はたまた川や湖があった。ちょっと釣糸を垂らしてみようかな…みたいに、その場の思い付きで気軽に釣りができたりします。
「あー、竿持ってくればよかったなー」って場面、結構あるんですよね。私はキャンプや旅行で車を使うのですが、車にこれ一本を常備しており、大変重宝しています。大して釣れなくても暇潰しになりますし、子供も喜びます。
価格もリーズナブルで、我が家では先端が折れたので新たにもう一本同じものを買い、今も大活躍中です。
以上の理由により、ダイワ クロスビートは小学生高学年から中学生にかけての子供に是非オススメしたいロッドです。
なお、クロスビートシリーズは836TMLだけでなく、どのモデルも優れたコストパフォーマンスの高いロッドです。
2020年4月にダイワ(Daiwa)から、「クロスビートSW」が発売されます!(function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoAffiliateObject=a;b[a]=b[a]||function(){arg[…]
中学・高校生に適した竿
子供用釣竿の紹介でしたが、15才以上の年齢となると、竿選びに関しては身体能力等を踏まえて大人と同じ基準で考えてよいと思います。そして大人の初心者には磯竿3号が良いと思います。
私が初めて海釣りで使った釣竿も磯竿でしたが、3号の磯竿は浮き釣り、投げ釣り、カゴ釣り、サビキ釣りなど、堤防でおなじみの釣法に全て対応できます。
ただし、機能的には中途半端です。ウキフカセ釣りで大型のクロダイやメジナを掛けたとしても、竿が固すぎ、糸が切れてバレる可能性が高いでしょう。また遠投しようとしても、本格的な投げ竿のようには飛距離は出ません。いろんな釣り方を試すことができることがこの竿のメリットです。
なお、ここで挙げたシマノ「ホリデー磯」は、私も使用した初心者に大人気の釣竿。堤防・磯でエサ釣りメインの初めての一本にオススメです。詳細は以下の記事を参照ください。
シマノ「ホリデー磯(holiday ISO)」は、海釣り用の入門竿として、初心者を中心に多くの釣り人に使用されている、超人気釣竿です。私が初めて購入した磯竿も「ホリデー磯」で、当時から人気でしたが、もう10年以上前の話になるので相当[…]
子供用のオススメ釣竿まとめ
以上、子供用のオススメの竿については、子供の成長に合わせて選ぶと良いということで、年齢別に紹介していきました。まとめると、
- 3歳~5歳児には延べ竿
- 小学校低学年には中古バスロッド
- 小学校高学年~中学生には「クロスビート」等の長めのルアーロッド
- 高校生以上には「ホリデー磯」等の磯竿3号程度
なお、子供用のリールについては
海釣りで初心者・子供が使用するビギナー向けリールをお探しなら、「ダイワ(DAIWA) ワールドスピン」がおすすめです。このワールドスピンは、私が子供用に初めて買ったリール。値段のわりに丈夫で、今でも家族釣りで大活躍しています。[…]
子供向けの釣り方については
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その他の釣り道具を一式揃えようとしている初心者の方には
海釣りに必要な道具は「釣竿」と「リール」だけではありません。他の細々した小物が意外と大事。ただその中には、釣りに「必要不可欠」なものもあれば、「あったら便利」程度のものあり、その重要度が分かりにくかったりします。特に釣り未経[…]
を参考にしていただければ、子供との釣りをより一層楽しんでいただけるはずです。
我が家では子供と釣りに行くと、隣で高い竿を振り回す私より、むしろ子供の方が大物を釣り上げることが多いです。子供だからと軽視せずに釣竿をはじめ適切な道具を選定してあげることで、子供でも大物を釣り上げることができ大興奮!ファミリーフィッシングが充実したものになりますよ!