2020年、ダイワからマルチルアーロッド「オーバーゼア(OVERTHERE)」が発売されました。
サーフ、堤防でのルアーゲームで幅広く使えると評判のこのロッド、初心者用のショアジギングロッドを探していた中で目に留まったのですが、他のロッドとはひと味違った特徴を持っているようです。
そこで今回は、ダイワのルアーロッド「オーバーゼア」について、その特徴、ラインナップ、上位モデルとの比較などを行い徹底的に調査してみました。
ダイワ オーバーゼアの特徴
ダイワのルアーロッド「オーバーゼア」の特徴は、Daiwa公式サイトによるとこうあります。
幅広い方にルアーを遠投する爽快さと、魚の強い引きを味わえるサーフ&堤防からのルアーゲームの入門シリーズ。長いロッドをはじめて扱う方でもルアーの重さをブランクに乗せやすい設計により、より手軽に遠投ゲームを楽しめる。
特徴となるキーワードをピックアップすると「幅広い」「入門」「遠投」の3つ。それぞれについて深掘りしていきます。
幅広さ<汎用性の高さ>
ダイワ オーバーゼアの一番の魅力とも言える特徴が幅広さ(汎用性の高さ)ではないでしょうか。
シーバスロッドよりパワーがあり、ショアジギングロッドより軽快性があり、更に軽いプラグも投げられる穂先のしなやかさを持つことで、非常に多くの魚種に対応することができます。
対応ジグ重量は10~65g!他社のショアジギングロッドであれば、せいぜい30~60gがいいところではないでしょうか。
Daiwa公式サイトでの対応魚種一覧によると
- シーバス
- ヒラメ
- マゴチ
- ブリ
- サゴシ
- マダイ
- 根魚
- 海アメマス サクラマス
- オオニベ
- シイラ
…と、たった一本で実に多様な魚種を狙うことが出きます。私の知るショアジギングロッドの中で汎用性はNo.1です。
なお、ルアーで釣れる魚の種類や難易度について以下の記事にまとめたのでご参考まで。
「海の魚がルアーで釣れる!」一昔前はブラックバス一辺倒だった日本のルアーフィッシングも、その後目覚ましく進化を遂げ、近年では様々な魚をターゲットに楽しめるようになりました。特に海のルアー釣りでは、エサでもなかなか釣れない難易[…]
高い遠投性能
高い遠投性能もダイワ オーバーゼアの特徴の一つです。
ショアジギングでは飛距離が非常に重要。ある程度飛ばさなければ場所によっては釣りになりません。
このロッドはシーバスロッドやショアジギングロッドの標準的な長さより若干長め、そして穂先がしなやかで、誰でも飛距離を出すことができる設計になっています。
入門<初心者向け>
ダイワ オーバーゼアは、ショアからのルアーゲームの入門(初心者向け)ロッドと位置付けられています。
その理由は、前述の「汎用性の高さ」「高い遠投力」に起因するところが大きいと思います。
一本で色々な釣りにチャレンジできること、簡単に飛距離を出せることは、初心者とってに非常に魅力的な要素かと思います。
ただ、価格は実売価格で2万円程と少しお高め。完全な釣り初心者より、ある程度釣りのいろはは知っているけど、ルアーゲームは初めてという方が入門ロッドとして手に取る価格帯かなと思います。
オーバーゼアのラインナップ
ダイワ オーバーゼアシリーズにはエントリーモデルの「オーバーゼア」と上位モデル「オーバーゼア AIR」があります。
ダイワ公式サイトからエントリーモデル「オーバーゼア」のラインナップを見てみると。
品名 | 全長 (m) | 継数 (本) | 仕舞 (cm) | 自重 (g) | 先径/元径 (mm) | ルアー重量 (g) | ジグ重量 (g) | ライン ナイロン (lb) | ラインPE (号) | カーボン 含有率 (%) | メーカー希望 本体価格(円) | JANコード |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
109ML/M | 3.28 | 2 | 168 | 180 | 2.0/17.7 | 7~45 | 7~50 | 8~16 | 0.8~2.0 | 90 | 23,500 | 038327 |
1010M/MH | 3.30 | 2 | 169 | 200 | 2.2/17.7 | 10~60 | 10~65 | 8~20 | 0.8~2.0 | 92 | 24,000 | 038334 |
103MH | 3.12 | 2 | 160 | 190 | 2.2/17.7 | 15~60 | 12~65 | 10~20 | 1.0~2.5 | 90 | 24,000 | 038341 |
109MH | 3.28 | 2 | 168 | 206 | 2.2/17.7 | 15~60 | 12~65 | 10~20 | 1.0~2.5 | 91 | 24,500 | 038358 |
※この表は横にスクロールできます。出典:Daiwa
109ML/Mはシーバス向きのマイルドな仕様
オーバーゼア109ML/Mは、シリーズ中一番マイルドなモデル。
ジグヘッドリグ、12cm前後のミノーやシンキングペンシルに対応し、リトリーブやリフト&フォールなどのアクションを得意としています。
シリーズ中、シーバスゲームで最も活躍するのがこのロッド。穂先も柔らかく、バイトを弾きにくく、吸い込むアタリのバチ抜けパターンにも対応できるようです。
普段はシーバス狙いが多いけど、ショアジギングにも兼用したい…という方にオススメなモデルが109ML/Mでしょう。
1010M/MHは汎用性No.1
オーバーゼア1010M/MHは、シリーズ中最も汎用性が高いモデル。
ダイワ公式サイトの魚種別対応表を見ると一目瞭然です。
魚種別対応表 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
※この表は横にスクロールできます。引用:Daiwa
○の数を比較すると、1010M/MHが最も多くの魚種に対応できることが分かります。
前述しましたが、バットが強くかつ穂先がマイルドなため、対応ジグ重量が10~65gと幅広いことが釣りの幅を広げています。
私は個人的に、この1010M/MHが前述した特徴である「幅広さ」「高い遠投性能」をバランス良く体現した「オーバーゼア」本命モデルだと思います。私が初めての一本に選ぶならこのモデルでしょう。
103MHは操作性重視
オーバーゼア103MHは、汎用性の高さを残しつつ、操作性を高めたモデル。
全長はシリーズ中最も短い3.13m。調子も比較的硬めに設定することで、手返しよく、よりしゃくり易くなっているようです。
オオニベやシイラなどとも十分に渡り合えるパワーも備えており、ショアジギングメインで大きなターゲットを狙う方にオススメのモデルです。
109MHはパワー重視
オーバーゼア109MHは、シリーズ中最もパワーのあるモデル。
オオニベやシイラなどとのハードなやり取りに耐えうるトルクを持ち、また硬めなのでアクションもつけやすい設計です。
「オーバーゼア」と「オーバーゼアAIR」との比較
「オーバーゼア」と上位モデル「オーバーゼアAIR」とを比較し、その違いを以下に整理してみます。
価格差は約1万円
「オーバーゼア」と「オーバーゼアAIR」の価格差(メーカー希望小売価格)は約1万円程です。
1010M/MH同士で比較すると、「オーバーゼア」が24,000円、「オーバーゼアAIR」が33,500円です。
個人的には、この一本で大部分のソルトルアーゲームを網羅できてしまうのであれば、専用竿の必要性がなくなってしまうので、オーバーゼアはあくまでルアーゲームの入門竿的存在であってほしい…となると、入門者に釣竿一本3万円超はちょっと敷居が高いかな…というのが正直な感想です。
エントリーモデルでも2万円超。ここから更に一万円の差となると、負担感が結構大きいかな…と感じます。
自重はほぼ変わらず
「オーバーゼア」と「オーバーゼアAIR」の仕様表を比較すると、「全長」「対応ルアー重量」等は全く同じなのですが「自重」はどうでしょう。
モデル | オーバーゼア | オーバーゼアAIR |
109ML/L | 180 | 178 |
1010M/MH | 200 | 195 |
103MH | 190 | 189 |
109MH | 206 | 203 |
こう比較すると、自重の差は1~5g。一円玉たった5枚程の差です。
オーバーゼアAIRの「AIR」は「風のような軽さ」を連想させますが、そういう意味ではないみたいです。実際、エントリーモデルとの自重の差はほぼ変わりませんでした。
元径は約1mmの差
「オーバーゼア」と「オーバーゼアAIR」の仕様表でもう一つ、元径の差が気になります。
モデル | オーバーゼア | オーバーゼアAIR |
109ML/L | 2.0/17.7 | 1.9/16.8 |
1010M/MH | 2.2/17.7 | 2.2/16.8 |
103MH | 2.2/17.7 | 2.2/16.8 |
109MH | 2.2/17.7 | 2.4/16.8 |
このように、全てのモデルに約1mm(約5%)の差があります。
この差をどう考えるかですが、ブランクの太さは、キャスト時に竿が受ける風の抵抗に影響します。飛距離が重要なルアーロッドではこれが意外と無視できない差となって現れるはずです。
その他のテクノロジー
「オーバーゼア」と「オーバーゼアAIR」で採用されているテクノロジーの違いを見ていきます。
ダイワ公式サイトによると「オーバーゼアAIR」には以下のテクノロジーが採用されているようです。
テクノロジー | 機能概要 |
X45 | ねじれ防止構造 |
Vジョイント | 継ぎ目の技術。パワー・感度向上 |
エアセンサーシート | 軽量・高強度・高感度のリールシート |
HVF | 高弾性カーボン |
一方、「オーバーゼア」のテクノロジーについては、公式サイトにも全く記載がありません。
そこで気になってDaiwaさんに直接聞いてみたところ、以下のような回答をいただきました。
オーバーゼアには最新テクノロジーは採用していない。あくまで入門用の「ノーマルルアーロッド」という位置付け。
ハリの強い「AIR」と比較して調子は柔らかく粘り気があり、女性にも投げやすい設計になっている。
同じリール、ラインを使用した場合、やはりハリのある「AIR」の方がより短時間で魚を水面に寄せることができる…
サイトに掲載していない技術が1つや2つあるのかな…と期待して聞いてみたのですが、残念ながら特段無いようです。
しかし、例えばブランクの素材にノーマルカーボンを使用した方が、力のない方でも距離が出せるとのことで、最先端技術の採用が必ずしも全てにおいて良いものに繋がるという訳でもないようです。
上位モデルとの比較まとめ
「オーバーゼア」と上位モデル「オーバーゼアAIR」の比較した結果、私の印象としては
- 一万円の価格差で最先端テクノロジーが4つも詰め込まれている点で、コスパは「オーバーゼアAIR」に分がある
- 経験者には、より遠投性能やトルクが高い「オーバーゼアAIR」がよい
- 力に自信の無い方には、柔らかい仕様の「オーバーゼア」の方が飛距離が期待できる
というところでしょうか。オーバーゼアAIRも、これはこれでなかなか魅力的なロッドですね。
「オーバーゼア」は幅広くルアーゲームを楽しみたい初心者に最適
以上、ダイワのルアーロッド「オーバーゼア」についてでした。調査の結果、
釣り経験はあるけどルアーゲームは初めての方、力に自信の無い方、ショアジギングもシーバスゲームも一本で済ませたい方には「オーバーゼア」が適していると感じました。
また、ルアーゲーム経験者で、マルチにこなせるコスパの高い一本がほしい方は「オーバーゼアAIR」が良いでしょう。
いずれも汎用性が高く、一本で幅広いルアーゲームが楽しめる良いロッドという印象です。
また汎用性のみならず、携帯性も備えた高機能マルチロッドをお探しなら2020年10月発売の「セブンハーフ」も面白そうです。
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以上、皆さんのロッド選びの参考になれば幸いです。