皆さんは「生シラス」を食べたことがありますか?
「釜揚げシラス」はどこのスーパーでも大概売っていてリーズナブルに手に入る庶民の味方ですが、シラスは足が早く鮮度管理が難しいため、生になると普段なかなかお目にかかれない高級食材になります。
そんな希少な生シラスを手に入れることができたなら、できるだけ美味しく食べたいですよね。
そこで今回は、生シラスの一番美味しい食べ方を探るため、正しい下処理について整理し、様々な食べ方の味比べをした結果をご紹介します。
生シラスの正しい下処理(洗い方)
生シラスの下処理はとても簡単。「水で洗う」それだけです。
以下では、生シラスはそもそも洗うべきか否かという問題から整理し、その洗い方について紹介します。
生シラスは洗ったほうが良い?
生シラスを洗うか否かは意見が別れるところですが、私は基本的にそのまま食べる派です。
スーパーで売られている物は、基本的に既に一度洗浄されていてそのまま食べられるようになっているからです。
しかし、それでも
- 海水やゴミなどが付着している可能性がある
- 完全に殺菌できているわけではない
と気になる方は、気持ちよく食べるために洗うのも一つの手段だと思います。実際洗ってみると、それが汚れなのか旨みなのかは不明ですが、水が白濁します。
もし殺菌目的で洗う場合は真水で洗う必要がありますが、生シラスは真水に当てると浸透圧の関係で水っぽくなるので、すぐに水気を除去して速やかに食べることをおすすめします。
また殺菌目的でなければ、身の劣化を防ぐために濃度3%の塩水で洗うと良いと思います。
なお、生しらすはとにかく鮮度が命です。以前、『魚の熟成とは?手軽で美味しい熟成方法も写真で解説』でご紹介したように、時間を置いて熟成することで美味しくなる魚も多いですが、生シラスは新鮮であればあるほど美味しいのでなるべく早く食べましょう。
生シラスの洗い方
生シラスの洗い方はとてもシンプル。手順は以下の通りです。
- 生シラスを氷水に入れ優しく回す。
- ザルに上げ、水気をよく切る。
以上。なるべく短時間で済ませたほうが美味しく食べられるはずです。
調べてみると、腸炎ビブリオ殺菌には真水で5分間必要と言われているようです。汚れの除去のみであれば、私は3%の食塩水で15秒程を目安としています。
生シラスの美味しい食べ方
それでは、生シラスを様々な方法で食べ比べてみたいと思います。今回試してみたのがこちら。
- 生姜醤油
- わさび醤油
- ゴマ油+塩
- オリーブオイル+黒胡椒+塩
- ポン酢
- 麺つゆ・白だし
- 塩茹で
生姜醤油
生シラスの食べ方の王道は生姜醤油。
食べてみると…やはり美味しい!
生シラスにはほのかな苦味があるのですが、生姜の爽やかな風味の相性が抜群です。ねっとり濃厚な味わいに清涼感が加わり絶妙なバランス。
安定感のある美味しさですが、鮮度抜群の生シラスに対しては、生姜が勝ってしまい少しもったいない気もします。生生姜をすりおろすとさらに風味が強くなるので、チューブの生姜で丁度いいかもしれません。
わさび醤油
生シラスにわさび醤油も普通に美味しいです。
わさびの仄かな「消臭」効果は、生シラス本来の味を楽しむには丁度いい気がしました。鮮度が良ければ生姜よりわさびの方がおすすめかもしれません。
強い「殺菌・抗菌」効果がわさびの特徴ですが、その点も生シラスとの相性が良さそうです。
ゴマ油
生シラスをごま油で食べたと言う話はあまり聞きませんが、サーモンポキが美味しいので生シラスでは?と思い試してみました。
食べてみると…んー、おいしいけど…。
ごま油は、サーモンのような独特のクセがある魚とは調和するのですが、生シラスの風味とは方向性が違う印象。なんだかシラスの苦味が孤立して浮いてしまっている印象です。
また、油が生シラスのネットリ感に拍車をかけてちょっと行き過ぎてしまった感があります。
オリーブオイル+黒胡椒
生シラスを、オリーブオイルと黒胡椒でカルパッチョにしてみるとどうでしょうか。
我が家ではイナダを食べるときは専らこれです。青臭さを消しながら淡白すぎる身にオイルでまろやかさを加え、美味しく変身させてくれます。
青魚でいけるなら生シラスも…と思い試してみました。
食べてみると…うん、うまい。
オリーブの風味との相性は確かに良いです。しかしごま油同様、ネットリ感が増して重くなりすぎてしまう点が惜しい。
ご飯に乗せるとちょうどよいかもしれません。
ポン酢
生シラスにポン酢を付けてみました。
濃厚な生シラスにさっぱりなポン酢。口に入れた瞬間は爽やかで美味しく感じたのですが、苦味が口に残りあとを引きました。こちらも生シラスとは風味の方向性の違いを感じました。私の中では今回比較した中で最も相性が悪いように思いました。
麺つゆ・白だし
生シラスに麺つゆをつけてみました。
これは邪道ですね。折角の生シラスの風味が、強力な鰹だしパワーでかき消されました。もう麺つゆの味しかしません。
白だしもその見た目とは裏腹に、カツオ風味抜群で力強さがあります。目隠ししたら何を食べているかわかりません。
生シラスに限らず刺し身全般に言えますが、素材の味を楽しみたいなら麺つゆ・白だしはオススメできないかなと思います。
塩茹で
最後は生シラスの塩茹で。
例えば天ぷらは揚げたてをかぶりつくのが極上の食べ方であるように、釜揚げシラスも茹でたてが最高なのでは…?と思い試みました。
生で食べられる魚にあえて火を通すのは覚悟が入りますが、「茹でたてのシラス」は、生シラスが手に入らなければ味わえません。
30秒ほど塩水で茹でてザルに上げ、すかさず食べてみると…
生シラスの風味のポイントだった仄かな苦味が薄まり、甘みが少し落ちましたが、塩気が効いてこれはこれで美味。クセがなく、子供はこっちの方が好きそうです。
食感はふわふわで非常に柔らか。べちょついている…という感じ方もあるかもしれませんが、私はアリだと思いました。
生シラスの美味しい食べ方ランキング
以上、生シラスの食べ方7つを私の独断と偏見によりランキングにまとめると以下の通り。
順位 | 食べ方 | 特徴 |
第1位 | 生姜醤油 | ネットリ+さっぱりでバランス◎ |
第2位 | わさび醤油 | 素材の味が引き立つ |
第3位 | 塩茹で | クセなくふわふわ |
第4位 | カルパッチョ | オリーブとの風味の相性○ |
第5位 | ごま油 | 風味の方向性が違う |
第6位 | 麺つゆ・白だし | 生シラスの旨味消滅 |
第7位 | ポン酢 | 苦味があとを引く |
以上の通り、一位は王道の生姜醤油。やはり間違いない旨さです。
塩茹でが意外と美味しかったのには驚きでした。スーパーで釜揚げしらすとして売られているものとは別物の味わいです。
麺つゆ・白だしは風味が強すぎて、生シラスにはもったいないですね。
…と、一通りまとめて満足したところですが、この試み、なんと先駆者がいらっしゃいました。
江の島といえば、生しらすが有名。足が早いので、海の近くでしか食べられない珍味です。味付けは、生姜醤油、麺つゆ、ポン酢が一…
こちらを拝読させていただくと、第一位は生卵+生姜醤油とのこと。そんな食べ方があったんですね、今度是非試してみたいと思います。
生シラスの美味しい食べ方まとめ
以上、生シラスの下処理の方法と、7種類の食べ方について紹介しました。まとめると
- スーパーの生シラスは洗わずに食べられる
- 生姜醤油が一番美味しかった
- あえて塩茹でするのもアリ
美味しさの感じ方は人それぞれ。皆さんも試してみてください。
なお、食べ比べについては他にも魚全般やカニ、サーモンなど以下の通りいくつかまとめてみたのでご参考まで。
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