釣った魚を捌きたいんだけど「出刃包丁」のおすすめは?
釣り好きの知人からそう聞かれたのですが…釣り人が出刃包丁を欲しがる気持ち…とても良く分かります。
私も以前、釣った魚を自分で捌きたい!と思い立ち、料理の「り」の字も知らない頭で悩みに悩みながら出刃包丁を探し求めたことがありました。
数え切れない程様々な包丁がある中、しかも普段料理をしない者が、いきなり出刃包丁を一本を選ぶって、なかなか難しいんですよね…。
しかし魚を捌く機会が多い釣り人にとって、出刃包丁は台所で欠かせない一本になります。
とりわけ私が選んだグローバルの出刃包丁は購入当初から大変重宝しており、是非多くの方にオススメしたいところです。
そこで今回は、釣った魚は捌くところまで上手にやりたい!という釣り人目線で、出刃包丁の選び方やグローバルの出刃包丁を実際使用した感想などをご紹介したいと思います。
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出刃包丁の特徴
はじめに、そもそも出刃包丁とは何なのか、その特徴について簡単に整理します。
出刃包丁とは、魚の三枚おろしや頭落としなどに重宝する、重みのある和包丁。
もう少し具体的に説明すると、一般的に以下の3つの特徴があります。
刃元が太い
出刃包丁の一番の特徴は、「刃元が太い」こと。上の写真のように普通の包丁に比べて厚みがあるため、硬いものを力を入れて切断できます。
片刃
出刃包丁の2つ目の特徴は「片刃」であること。片刃の包丁はその構造上、食材に刃を入れるとまっすぐ進まず斜めに切れるのですが、その特性を活かし、写真のように骨に当たるのを避けつつ、骨に沿ってキレイにおろすことが出来ます。三徳包丁はまっすぐ切れるため、動きがギザギザになり繊維を無駄に破壊してしまいます。極端に言うと下図のようなイメージ。
右のように一直線にスーっと切れたほうが繊維の破壊が少なく、料理が美味しくなります。刺し身にはその影響が特に顕著に現れます。
裏面の反り
出刃包丁のような片刃の和包丁は、裏面に若干の反り(くぼみ)があります。上図は出刃包丁の断面図ですが、青で示した部分が緩やかな曲線になっていることがお分かりになるかと思います。
これにより、魚を切った際、その身が包丁にピタッとくっつくのを防ぎ、より捌きやすくなるようです。
釣り人向けの出刃包丁の選び方
一般的に、出刃包丁を選ぶ際に重要なポイントは「サイズ」と「素材」と言われますが、ここでは「釣り人」=「魚は好きだけど料理の腕は素人」と仮定して、魚を捌きたくて仕方がない釣り人向けの出刃包丁の選び方について深堀りしていきます。
出刃包丁のサイズ
出刃包丁を選ぶ際の重要ポイントのひとつめが「サイズ」です。
大きさにより、「本出刃」「中出刃」「小出刃」と呼び名も変わる出刃包丁ですが、出刃包丁のサイズは捌く魚のサイズに合わせて選ぶべきです。
そこで出刃包丁の刃渡りの長さと、捌きやすい魚のサイズとの関係を下表にまとめてみました。
刃渡り(mm) | 適した魚のサイズ |
120 | イワシ・アジ(〜30cm)、タイ(〜30cm) |
150 | イワシ・アジ(15cm〜)、タイ(〜45cm)、イナダ(〜50cm) |
180 | アジ(30cm〜)、タイ(35cm〜)、イナダ(40cm〜) |
210 | タイ(40cm〜)、イナダ(45cm〜) |
魚を3枚におろす際、背から入れた刃が中骨に無理なく届くかどうかが刃渡りの長さの目安になります。体高のあるタイ類より、横長の青物の方がより大きな魚に対応できます。
さてここで、私を含め、釣り人というのは総じて大物を釣りあげる妄想癖があるものですが、そこでついつい妄想サイズで出刃包丁を選ばないよう注意してください!
私は当初、重厚で風格漂う刃渡り18センチの本出刃を買う気満々でしたが、購入直前で妻に「身の丈に合った物を買え」的なことを諭され、我に返りました。
当時の私が釣って帰る魚のアベレージサイズはせいぜい20〜30cm程度。これなら刃渡り12センチで十分対応できます。刃渡り18センチになると、太く、重くなり小回りが効かず、小魚が捌きづらくなります。
釣りの実力に合わせると「小出刃」止まり…。
「持ってきたクーラーボックスより大きい魚は釣れない」なんてジンクスも耳にするので、「小さい包丁を持っていると大きい魚が釣れなくなる」のでは…などとかなり無駄に葛藤しましたが、最終的には現実を受け止め、プライドをかなぐり捨てて刃渡り12センチを選びました。
結果、そのジャストサイズの小出刃は悔しいことに今も大変重宝しています。
汎用性が高い長さは12〜15cmの間でしょうか。自分がよく捌く魚の大きさを基準に考えると良いでしょう。
出刃包丁の素材
出刃包丁を選ぶ際の重要ポイントのふたつめが「素材」です。
出刃包丁の素材には「鋼」と「ステンレス」の2種類があります。
その2つの素材の特徴を整理すると下表の通りです。
鋼 | ステンレス | |
切れ味 | ◎ | ○ |
持続性 | ○ | ○ |
メンテナンスしやすさ | △ | ○ |
鋼なら青鋼、白鋼、日本鋼…、ステンレスならダマスカス鋼、V金10号、モリブデンバナジウム鋼…など、各々種類が多岐にわたり一概には言えないのですが、大まかに言うと上記のようになるようです。
なお、包丁の素材としては他に「セラミック」もありますが、欠けやすい特徴があり、硬いものを切る出刃包丁には向かないようです。
ちなみに私が初めて選んだ出刃包丁の素材は「ステンレス」。切れ味はそれなりで、特に錆びにくいという点で、料理になれていない私のような者にも扱いやすいだろうと考えました。
ステンレス製の小出刃が便利
では、釣り人が扱う出刃包丁として、具体的にどのようなものが向いているのでしょうか。
前述の通り、私のおすすめはステンレス素材の小出刃です。
まず、サイズは小さめが実用的です。
釣ってくる魚のサイズが大物ばかりであればそれに合わせたサイズを選ぶべきですが、お店で買う魚も含めると、小さめの魚を捌く機会はかなり増えてくるはずです。
また、お店で魚を丸1尾買う場合、大体お店の調理サービスを利用するケースが多く、三枚おろしまでやってもらえば自宅で出刃包丁の出る幕はありません。
しかし、小アジなどパックで売っている小さな魚の下処理は調理サービス対象外であることが多く、そういうときにも小出刃が活躍します。
それでも大きめの魚を捌く頻度が高い方は、もう一回り大きめの刃渡り15cm程の出刃包丁が良いかもしれません。
また、素材でステンレスをおすすめする理由はやはりサビにくさ。
鋼の包丁は私も持っていますが、半端じゃなく錆びやすいです。それはもう、切ったそばから錆び始める勢い。
そのため、使ったらすぐに洗って拭かなければなりません。この一手間、正直かなり面倒くさいです。
その点、ステンレスはサビを気にせず気兼ねなく使えるのでオススメです。
グローバルの小出刃がおすすめ
釣り人の出刃包丁として私がおすすめしたいのがグローバルの小出刃。
刃渡り12cmのステンレス製出刃包丁で、小回りがきき、とても使いやすい包丁です。(私が使っているのはこの旧型ですが、基本的な構造や機能は同じだと思います。)
豆アジ・小アジなど小さい魚から、30cm程の魚までに適しています。また、大きな魚も、多少扱いにくいものの捌けないわけではないので、これ一本で対応可能です。
切れ味もそこそこあり、コンパクトで使いやすく、非常に錆びにくいところが、ずぼらで料理初心者の私と相性抜群でした。
小さくて洗うのも楽なので、ニンニクや生姜などちょっとした薬味を切りたい時なども気軽に使っています。
また、洗うのが面倒なときは食洗機にかけてしまっていますが、それにより極端に切れ味が悪くなるようにも感じません。(食洗機対応ではないので自己責任でお願いします。)
小出刃のデメリットは柳刃包丁で補完
小出刃は小回りが効くのがメリットで、大物を釣って帰ってくるご家庭は別として家で捌く大概の魚には対応できるのですが、ひとつ大きなデメリットがあります。
それは、「刺し身が切りづらい」こと。
出刃包丁の片刃で裏面に反りがある構造は、刺し身の柵切りも向いているのですが、刺し身を美味しく切るためには、なるべく繊維を破壊しないよう、一回で引き切りするのがセオリーです。
しかし、小出刃の刃渡りでは長さが足りません。そこで、柳刃包丁を別途用意することをオススメします。
私はこのような鋼の柳刃包丁を使っています。錆びやすいですが切れ味はバツグン。おいしい刺し身を切りたいならここはこだわりたいところ。
三枚おろしまでは小出刃を使い、皮引き、刺し身の柵切りは柳刃包丁と使い分ければ、上手に魚を捌けるはずです。
出刃包丁で魚を美味しく捌こう!
以上、出刃包丁について、料理は素人だけど魚を上手に捌きたい釣り人の視点で、その選び方やオススメの製品を紹介しました。まとめると
- 出刃包丁選びは「サイズ」と「素材」に注目する。
- 「釣りたい」サイズでなく、よく捌く魚のサイズに合わせて選ぶ。
- 料理初心者はステンレス製の小出刃がオススメ
- 柳刃包丁を合わせて揃えると刺し身を上手に捌ける
出刃包丁はよく見聞きする包丁ですが、これを実際に使用している方は実はそれほど多くないのではないでしょうか。
プロでもない限り魚を捌く頻度は少なく、普段使用している三徳包丁で事足りると考える方が大半かもしれません。
しかし、出刃包丁を使用すると、魚をより手早く、よりキレイに捌くことができ、料理も一層美味しく作れます。是非使ってみてください。
なお、鋼の包丁をお使いなら、サビ取り方法を以下の記事で紹介していますのでご参考まで。
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