先日、我が家に大粒の冷凍ホタテが大量に届きました。
ふるさと納税の返礼品としていただいた、普段は買わない上等なホタテ。せっかくのご馳走ですから、出来る限り美味しく仕立てて最高の状態で刺し身で食べたい!
以前、ホタルイカの食味が解凍の仕方によって変わることを紹介しましたが、ホタテも同じく解凍方法にこだわりたいところ。
そこで今回は、冷凍ホタテをどう解凍すると最も美味しく食べられるか、様々な解凍方法を試して比較してみることにしました。
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冷凍ホタテの解凍方法
冷凍ホタテを刺身で食べるための解凍方法には主に「冷蔵庫解凍(冷蔵解凍)」「流水解凍」「氷水解凍(塩水解凍)」の3つがあります。
それぞれの解凍方法の特徴は、ネット上の情報をまとめる限りでは以下の通りです。
解凍方法 | 解凍時間 | 美味しさ |
冷蔵庫解凍 | 10時間 | |
流水解凍 | 約20分 | |
氷水解凍 | 約3時間 |
時間はかかっても手間なく解凍したい場合は冷蔵庫解凍、急いで解凍したい場合は流水解凍、そして最も美味しく食べたい場合は氷水解凍…という調査結果でした。
解凍方法別 ホタテの美味しさ比較
では、上記3つのホタテの解凍方法を比較し、実際どれ程美味しさに違いが出るのか検証してみたいと思います。
検証は、写真のようにサンプルとなるホタテを5粒120gにパック分けして行います。
また「味」の比較はどうしても感覚的な話になってしまうため、解凍後、放出されたドリップの量も計測することで定量的な比較もしていきたいと思います。
ホタテの冷蔵庫解凍
まずはホタテの「冷蔵庫解凍」を試みます。
冷蔵庫解凍のメリットは手間がかからないこと。デメリットは時間を要することです。
急速に解凍すると繊維が破壊され食感が損なわれるとともに、旨味がドリップとして外に出てしまうので、常温より涼しい冷蔵庫でゆっくり解凍させようという解凍方法です。
以下ではホタテの冷蔵庫解凍の方法、ドリップ量、味の感想をまとめてみます。
冷蔵庫解凍の方法
冷蔵庫解凍の方法は、写真のように皿にキッチンペーパーを敷き、その上に冷凍のホタテを乗せラップをして冷蔵庫に置いておくだけ。約10時間で解凍完了です。
かなりドリップが出るので、厚めのペーパーを二重にすると良いです。
冷蔵庫解凍したホタテのドリップ量
さて、冷蔵庫解凍によるホタテのドリップ量を測定してみましょう。
10時間後、冷蔵庫から取り出すと、敷いていたキッチンペーパーがかなり湿っていました。相当な量のドリップが放出された様子。
もともと120gあったホタテの解凍後の重量は101gまで減っていました。19g、総重量の約15%ものドリップの放出があったことになります。
ホタテの解凍時のドリップの多さは以前から知ってはいましたが…実際に計測するとその多さに改めて驚かされます。
冷蔵庫解凍したホタテの味
では、冷蔵庫解凍したホタテを食べてみます。
見た目はぷりっとしていて、普段食べるホタテと比較してハリがあり、身がしまっている印象。
口に入れてみると…「ぶりっ」と、確かな歯応えがありました。甘みがあり、嫌なホタテ臭さはありません。めちゃくちゃ美味しいです。
ネットの評判で美味しさ評価は程々だったことや、ドリップが思いのほか大量だったことから、そこまで期待していなかったのですが…良い意味で裏切られました。十分すぎるほど美味しい!というのが正直な感想です。
ホタテの流水解凍
次に試みるのはホタテの「流水解凍」。
流水解凍のメリットは短時間で解凍できること。デメリットは急速に解凍するため繊維の破壊が大きくドリップも出やすいことです。
「今夜はホタテを食べるぞ!」と朝から意気込んで冷蔵庫に移すことができれば良いのですが、慌しい朝にそんなことやっている暇がないという方も多いはず。また、夕方になって「あ、今晩ホタテ食べたいな」など急な思い付きにも対応できるので、味が落ちると知っていても結構使ってしまう解凍方法。
以下ではホタテの流水解凍の方法、ドリップ量、味の感想をまとめてみます。
流水解凍の方法
流水解凍の方法は、写真のようにバットなど深さのある器に冷凍ホタテを袋のまま置き、その上から流水をチョロチョロと注いて行います。約20分で解凍完了です。
なるべくホタテが袋越しに水に浸かるようにします。満遍なく解凍できるように、様子を見て袋をひっくり返すなどして水に浸る面を変えてあげましょう。
また、ホタテが水に直接触れると鮮度が悪くなるため袋に穴が空いていないか注意しましょう。
流水解凍したホタテのドリップ量
では流水解凍によるホタテのドリップ量を計測してみます。
20分後、写真のように全解凍されました。
それにしてもすごいドリップ量…。ホタテを袋からとりだすと…
やはりだいぶ出ましたね。
では取り出したホタテを、キッチンペーパーできれいに拭いた後で計量器に乗せてみます。
101g。元の重量120gから差し引くと、ドリップ量は19g。
やや?つまり冷蔵庫解凍とドリップ量が全く同じということに。
流水解凍のほうがドリップが出るはずだと思い込んでいたのですが…意外でした。
流水解凍したホタテの味
さて、流水解凍したホタテの味はどうか気になります。ドリップ量が同じだったので味も同じなんでしょうか?
見た目は冷蔵庫解凍のホタテと大差ないですが、若干くたびれている様な気がしないでもない。実際に食べてみると…
うまい!冷蔵庫解凍とほとんど変わらないんじゃないか?
ただ、個体によって食感に少し差を感じました。解凍中ドリップに浸り続けていた個体は少し柔らかめな気がしました。悪く言えばハリがなくなったというか…。甘みもあり美味しいことは確かなんですが。
ということで総合的には、やはり流水解凍より冷蔵庫解凍の方が美味しいとの噂は頷ける結果となりました。
ホタテの氷水解凍
最後はホタテの「氷水解凍」です。
氷水解凍のメリットは素材の美味しさを最大限に保ちながら解凍できること。デメリットは手間と時間がかかること。
氷を使ってゆっくりと解凍し、繊維の損傷・ドリップの放出を最小限に抑える解凍方法です。
以下ではホタテの氷水解凍の方法、ドリップ量、味の感想をまとめてみます。
氷水解凍の方法
氷水解凍の方法は、ボウルなどに塩を振った氷を敷き詰め、ホタテを氷でサンドするように埋め込んだ状態でラップをし、常温で約3時間で放置します。
一定量の塩を入れることが重要です。塩を入れる目的は以下の2点。
- 低温度に保つことができる。
- 水ぶくれを防ぐ。
少し具体的に説明します。
①については、氷が塩に触れて溶ける融解熱と、その溶けた水に塩が溶ける溶解熱により0℃以下の水を作り、この水でゆっくりと解凍することで、ダメージを抑えてホタテを解凍しようという訳です。
②については浸透圧が関係しています。例えば魚に真水をあててしまうと、濃度を均一にしようとする作用により塩分の高い身の方が水分を吸収し、結果、水っぽくなってしまいます。これを、氷に塩を振り海水と同じ塩分濃度にすることで防ごうという訳です。
なお、塩分濃度を海水と同じ3%にするには氷500gに対して塩15gが目安になります。
氷水解凍したホタテのドリップ量
氷水解凍によるホタテのドリップ量を測定してみます。冷蔵庫解凍、流水解凍と比較してどうでしょうか。
3時間後の様子は写真の通り。氷はほとんど溶けていました。
ちゃんと解凍できてるのか?と不安でしたが、触ってみると柔らかく、うまく解凍できている様子。
しっかりとキッチンペーパーで水分を拭き取り計量器にのせてみると…
おぉ!ずっしり110g!
解凍前120gですから、ドリップ量は10g。冷蔵庫解凍、流水解凍の約半分に抑えられました。
氷水解凍したホタテの味
氷水解凍の味はどうでしょうか。ドリップ量が少なかったため期待が膨らみます。
すべての個体が流水解凍と比べて締まって見えます。食べて見ると…
う…ま……これは美味い!
まず、ブリっとハリのある噛み心地に感動。冷蔵庫解凍のそれと同じように感じました。そして甘みが深く、臭みも全くない。文句の付けようがありません。わたし史上、最高に美味しいホタテの刺し身でした。
冷凍ホタテの解凍方法まとめ
以上、冷凍ホタテを主流の3つの方法で解凍し、その特徴を紹介しながらドリップ量や味などを比較しました。改めて整理すると以下の通り。
解凍方法 | 味 | 所要時間 | ドリップ量 | 特徴 |
冷蔵庫解凍 | 約10時間 | 19g (15.8%) | 時間がかかるが手間いらず | |
流水解凍 | 約20分 | 19g (15.8%) | 時間はかからないが味は多少落ちる | |
氷水解凍 | 約3時間 | 10g (8.3%) | 手間はかかるが最も美味しい |
※上表は右にスクロールできます。
ということで、ホタテを最も美味しく解凍できたのは「氷水解凍」でした。
冷蔵庫解凍も大差なく美味しかったように感じましたが、ドリップ量も比較すると、最も旨味を逃さず解凍できるのは氷水解凍だと確信できました。
ただ「冷蔵庫解凍」「流水解凍」「氷水解凍」何れもメリットデメリットがあるので、状況によって使い分けましょう。
なお、今回のホタテは北海道紋別市のふるさと納税返礼品。とても美味しかったのでご参考まで。
また、生食が絶品の「ホタルイカ」の美味しい食べ方も別の記事にまとめています。
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以上、参考になれば幸いです。