本サイトで以前、私が好きな魚を備忘録的にまとめた「おいしい魚ランキング」をご紹介した。
「あなたが一番おいしいと思う魚は?」そう聞かれて即答できないのは私だけだろうか。もっとも、「美味しい」の定義は人それぞれ。その回答は三者三様になろう。しかし、釣り歴30年を語る釣り好き親父としては、やはり自分がうまい[…]
今回はその第二弾「美味しい蟹(カニ)ランキング」をまとめたい。
日本で人気の「四大カニ」と呼ばれる「タラバガニ」「ズワイガニ」「毛ガニ」「花咲ガニ」を食べ比べ、私の独断と偏見により一番美味しいカニを決定していく。
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四大カニとは?
まずは、今回比較する「四大カニ」について解説しておきたい。
四大カニとは「タラバガニ」「ズワイガニ」「毛ガニ」「花咲ガニ」の総称だ。各カニの特徴については以下の通り。
タラバガニはカニの王様
タラバガニは言わずと知れた美味しいカニの代表格。我が家の年末年始のパキッ!ブリッ!ジュワッといえばこれだ。
タラバガニはカニの王様とも称される。分類学上はヤドカリのこのカニに、キングの称号を与えることには賛否両論ありそうだが、私は、単にデカくて高価なことを揶揄してそう言われているだけだと勝手に解釈している。
出典:カニ王
ともあれ、毛ガニとタラバを並べて置くと、どう見ても毛ガニはひれ伏すしかない。このボリューム満点で食べごたえがある点がタラバガニの最大の特徴だろう。
ズワイガニはカニの女王
ズワイガニも非常にポピュラーなカニで、こちらはカニの女王との異名を持っている。
しかし市場に出回るズワイガニは全てオス。それを「女王」とは一体どういうことだろうか。恐らくヤドカリに奪われた王座を奪還するために女として生きることを決めたのだろう。成り上がるためなら性転換をも厭わないストイックな姿勢には頭が下がる。
ちなみに、「本ズワイガニ」がここで言うズワイガニで、これと瓜二つの「紅ズワイガニ」は別物。これをズワイガニと謳い売られている場合もあるので注意して欲しい。
本ズワイガニは繊細でやわらかい身が特徴だ。味の良さならベスト・オブ・クラブとの呼び声も高い。
男か女か、本物か偽物かなど関係ない。カニの世界ではただただ美味いことだけが真実なのだ…と、ズワイガニはその身をもって語ってくれるはずだ。
毛ガニは酒飲みから支持
毛ガニはミソが美味く、とりわけ酒飲みから支持を受けているカニだ。
反面、剛毛びっしりのビジュアルは、特に品の良い奥様方からは敬遠されそうだ。
かなりの高級食材なだけに、その層の支持を得られない点は商品として非常に残念である。
どんなにポーズを決めても、この剛毛だけは如何ともし難い。
しかし、毛深いおっさん風の見た目とは裏腹に、身は非常に繊細。酒飲みだけでなく、多くのカニ通から支持を得ている。
花咲ガニは幻のカニ
花咲ガニは、一定の時期に一部の地域でしか捕れないことから「幻のカニ」とも呼ばれている。
やさぐれたタラバのような出で立ちから察しが付くだろうが、彼もヤドカリの仲間だ。実はカニではないという意味で「幻」とイジられているのかもしれない。
トゲトゲが意外と鋭いので、絶対に人に投げつけないでほしい。
漁獲量が少なく三大カニ(タラバ、ズワイ、毛ガニ)の影に隠れがちだが、甘みが強く、味は良い。
なお以下の記事で、四大カニの旬や特徴などを種類別により詳しく解説しているのでご参照のこと。
蟹の種類って何種類存在するかご存知でしょうか?私も魚屋などで、しばしば見慣れないカニに遭遇することがあり以前から気になっていましたが、蟹(カニ)の種類は世界で8000種類以上にのぼると言われます。その中で食べられるカニの種類[…]
カニの美味しさ比較条件
さて、カニの食べ比べを行う前に、その美味しさをどのように評価し比較するか、以下の条件について整理しておく。
- 比較対象
- 調理方法
- 調査時期
まず、比較対象は四大カニ(タラバガニ・ズワイガニ・毛ガニ・花咲ガニ)それぞれの「身」と「味噌」の味と量としたい。
次に調理方法は、極力同じ条件下で比較するために最もオーソドックスな塩茹でに統一する。
調査時期はカニの味を左右する重要条件。できれば各カニが本領を発揮できる「旬」の時期が理想だ。しかし、カニは種類や産地により旬の時期が異なる。
どうすべきか悩みどころだが、やはり味の微細な違いを比較するためには同時に試食する必要がある。そこで今回は、いずれのカニも年間で最も高い価格で取引されている12月〜1月の冬の時期に行うこととした。
美味しいカニランキング
それでは早速、私の厳正かつ身勝手な評価に基づく美味しいカニランキングを発表したい。
第4位 花咲ガニ
美味しいカニランキング第4位は花咲ガニ。
サンプルは500g約2500円の根室産。まるで着色したかのようなビビットカラー。幼少の頃、コスパが悪くて絶対に買ってもらえなかった外国のお菓子を思い出す。
こいつは天然の色味でうまそうなオーラをギンギンに放っているが、解体してみると…
…あれ、まずミソがほぼ無い。かき集めて食べてみたが薄味。緑色で見た目もイマイチ。
後で調べてみると、どうやらヤドカリ系のカニには味噌がないらしい。
ヤドカリ類のカニみそは脂肪分が多く、ゆでると溶けてなくなってしまいます。
出典:テレビドガッチ
そうだったのか…かなり残念。身の方には期待したいところだが…
なんかちょっと縮んでる?
弾力があり食べごたえはそこそこだが、甘みや旨味はそれほどなく、ミソと同様味薄め。花咲ガニは独特の香りが特徴らしいが、何せ風味自体が薄く特徴が掴みづらかった。
イマイチな結果に終わったのは、やはり時期のせいだろう。というのも、花咲ガニの旬は夏。彼は恐らく旬に水揚げされた後、今日まで冷凍漬けされていたに違いない。カニ四天王の頂上決戦でこの状況は分が悪すぎる。
ポテンシャルは秘めているはずなので、また時期を選んで食べたいところだ。一先ず冬の花咲ガニの評価は以下の通り。
身の量 | 3.0 |
身の味 | 2.0 |
味噌の量 | 1.0 |
味噌の味 | 1.0 |
総合 | 2.0 |
第3位 タラバガニ
美味しいカニランキング第3位はタラバガニ。
サンプルは1キロ6500円で手に入れた北海道産だ。
デカい。我が家で一番大きい皿でこんな状態。
身のきめ細かさは他のカニに劣るが、このブリっとした身を口いっぱいに頬張ったときの幸福感がたまらない。
デカイからやっぱり大味なんだろ?と思いきや、風味豊かで非常に美味。茹でたときの塩加減の差もありそうだが、身の味は一番濃かった。
甘み、旨味、ボリューム感を総合すると数あるカニの中でもトップクラスに美味しい。
ただ、タラバガニもヤドカリ系のため味噌がない点が非常に残念。タラバガニの評価は以下の通り。
身の量 | 5.0 |
身の味 | 4.5 |
味噌の量 | 1.0 |
味噌の味 | 1.0 |
総合 | 3.5 |
第2位 ズワイガニ
美味しいカニランキング第2位はズワイガニ。サンプルは800g約6000円の根室産。
こんな上等なズワイガニを食べるのも久々だな!とワクワクしながら解体しはじめると、何となく違和感が。
…ん?脚が8本しかない…。
ズワイガニはカニ下目に分類される正真正銘のカニ。タラバや花咲ガニなどヤドカリ下目のカニと違い、脚は10本あるはずなのだが。
※厳密に言うとヤドカリも脚は10本あり、タラバなどヤドカリ系のカニも脚は10本あるが、甲羅の中に隠されて目立たないことはさておき。
抜かれたのは、最後部の最も細く目立たない2本だ。
もしかしたら、よく見かける「訳あり」商品は、こうやって意図的に間引きした脚を寄せ集めているのか?…と疑心暗鬼になる。実害以上に、してやられたことによる精神的ダメージがデカい。
しかし落ち込んでいても仕方がない。気を取り直して解体してみると…
身はしっかり詰まっている!味噌の量も予想以上!これは期待できそうだ。
見た目は普段食べているカニカマそのものだがそれをガブリといただくと…
…ん!?
視覚から完全にカニカマと認識していたところに、予想外の味覚が押し寄せ、脳内が混乱状態に。
不意打ちの効果か、花咲ガニより甘み・旨味ともに強く感じる。食感は予想以上に粗めの繊維質で、噛みごたえがあった。やはりこれは紛れもなくカニだ。味噌の方も甘みとコクがありながら、癖がなく食べやすい。全てが高次元で安定している。
そんなズワイガニの味評価は以下の通り。
身の量 | 4.0 |
身の味 | 4.0 |
味噌の量 | 4.0 |
味噌の味 | 4.0 |
総合 | 4.0 |
第1位 毛ガニ
美味しいカニランキング第一位は毛ガニ。
今回のサンプルは350gと小ぶりなのだが、解体してみると…
身もぎっしり詰まっており、味噌の量も十分だ。
まずは身の方からいただくと…!
とにかく柔らかさ、きめ細やかさがヤバい。なめらかで女性的。それでいて鼻へ抜けるどことなく下品なカニ臭さ。この調和がエロ美味い。酒好きのおっさん達を惹きつける訳だ。
そして毛ガニと言えばミソが絶品と言われる。たっぷり入っているようだが、食べてみると…
濃ゆい!ズワイの味噌より明らかに深みがある。味とビジュアルが反比例しすぎて座標に表せない。三次元的美味さだ。
さらにそんな身とミソを同時に食べてみると…
ごふっっ!!
うますぎる。打撃と呪力が0.000001秒以内に衝突しておこるあの衝撃に似ている。ただでさえ美味い2つが、同時に食して2.5乗美味くなった。
そんな毛ガニの味評価は以下の通り。
身の量 | 3.5 |
身の味 | 4.5 |
味噌の量 | 5.0 |
味噌の味 | 5.0 |
総合 | 4.5 |
美味しいカニランキングまとめ
以上、美味しいカニランキングをまとめると以下の通り。
順位 | 名称 | 美味さ (5段階) | 特徴 |
第一位 | 毛ガニ | 4.5 | 味噌が絶品 |
第二位 | ズワイガニ | 4.0 | バランス良く美味 |
第三位 | タラバガニ | 3.5 | 身は最高に美味 |
第四位 | 花咲ガニ | 2.0 | 夏に食べるべし |
最も小ぶりで安価だったが、毛ガニが一番美味しいという結果になった。
…しかし私が評価すると、やはりミソのあるカニ贔屓になってしまうな。
美味しさの基準は人それぞれ。皆さんのベスト・オブ・クラブはどのカニ!?
なお、イカ、カレイ、サーモンの食べ比べ記事もまとめたのでご参考まで。
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